IT人材の採用戦略:中小企業が優秀な人材を確保する方法とは?

ITエンジニアリソース 2025年06月25日

日本では深刻なIT人材不足が続いており、特に中小企業にとっては「人が採れない」「定着しない」という課題が大きくなっています。 大手企業と比べ、知名度や給与面で不利になりがちな中小企業が、優秀なITエンジニアをどのように採用・確保すべきか? 本記事では、中小企業が実践できるIT人材採用戦略を、課題分析から具体的な対策、成功事例まで丁寧に解説します。

Logo

IT人材不足の現状と中小企業の悩み

 

経済産業省の調査によると、2030年には最大79万人のIT人材が不足すると予測されています。
中でも、次のような課題を感じている中小企業は多いです。

  • 求人を出しても応募がない
  • 採用してもすぐに辞めてしまう
  • 若手IT人材との接点が少ない
  • 自社の魅力をうまく伝えられない

このような中で、中小企業が**「人を選ぶ立場」から「選ばれる立場」へと意識を転換**することが重要です。

 

中小企業がとるべきIT人材採用戦略

 

① 自社の強みを明確にし、「魅力の言語化」を行う

大手にはない中小企業の魅力として、以下のような点が挙げられます:

強み内容例
裁量の大きさ若手でも即戦力として活躍可能
経営層との距離の近さ意思決定が早い・柔軟性が高い
多様な業務経験一人が複数の技術領域に関われる
地域貢献性地元密着・社会的意義を感じやすい

これらをわかりやすく伝える言葉に落とし込み、採用ページや求人票で丁寧に表現しましょう。

 

採用チャネルを広げる

多くの中小企業は「求人サイトに掲載して待つ」というスタイルをとりがちですが、現在のIT人材市場では、受け身の姿勢だけでは人材確保は難しいのが現実です。

そこで重要になるのが、採用チャネルの多様化です。人材との接点を増やすことで、応募の裾野が広がり、ミスマッチのない採用が実現しやすくなります。

活用したいチャネル例:

  • SNS(Twitter、LinkedIn)での情報発信
     → 社内の様子や技術スタック、社員の日常を発信することで共感を呼ぶ採用ブランディングに。
  • 技術系コミュニティへの参加(Qiita、connpass、Zennなど)
     → イベント登壇やナレッジ共有を通じて、企業としての技術力・文化をアピール可能。
  • IT特化型人材紹介サービスの活用
     → ミスマッチを防ぎ、短期間で即戦力を獲得するのに有効。日本語力や経験値で絞り込みも可能。
  • 高専・専門学校との地域連携
     → 若手人材の青田買い。インターン制度と併用すれば、育成+早期内定が実現可能。
  • オンライン合同説明会・採用フェア
     → 地方企業でも首都圏の人材と出会えるチャンス。事前の説明資料や社員紹介動画の用意が効果的。

また、インターンや長期アルバイトの導入も強力な手段です。実務経験を通してお互いを理解する時間を持てることで、内定後の定着率も高まります。

 

新卒採用に活用されるチャネル(ナビサイト、メディア、イベント、学校訪問…)について特徴を紹介します。|キャリタスUC

 

③ 現場エンジニアとの「直接対話の場」をつくる

技術者が「この会社で働きたい」と思う瞬間の多くは、**“仕事内容への共感”と“現場の人との相性”**にあります。

書類や形式的な面接だけでは伝わらない部分こそが、中小企業の強み。だからこそ、現場エンジニアと求職者がフラットに話せる場の設計が重要です。

具体的な施策例:

  • カジュアル面談の導入(履歴書不要、私服OKなど)
     → 応募ハードルを下げ、気軽な接点を持つことで“対話ベースの採用”へ。
  • 社員LT・会社紹介イベントの開催
     → 技術スタックや社風を生で感じてもらう。実際に働いている人が語る言葉は、企業説明よりも何倍も響きます。
  • 社員インタビュー・ブログの継続発信
     → エンジニア目線での働きがいや成長環境を“自分の言葉で”伝えることで、共感を得やすくなります。

📌 ポイント
「この人と一緒に働きたい」と思わせられる場づくりが、大手にない中小企業の魅力の源泉です。

 

④ 給与以外の「働きやすさ」を明確に

中小企業が大手と同じレベルの給与を提示するのは難しい場合が多いです。
しかし、それを補って余りあるのが、**「働きやすさ」と「自己成長の機会」**です。

差別化できるポイント:

  • 💻 リモート・フレックス制度
     → 開発業務の特性に合わせ、時間と場所に縛られない働き方を実現。子育て世代にも好評。
  • 📚 資格取得支援制度や社内勉強会の開催
     → 技術書購入補助、外部研修参加、定期的なLT大会など、「学び続ける文化」を明確に。
  • 👨‍🏫 キャリアパスの透明化
     → エンジニアからプロジェクトマネージャーやCTOへのステップ、評価基準などを公開。若手のモチベーション向上にも。
  • 🎉 心理的安全性のある社風づくり
     → 意見が言いやすい、相談しやすい、失敗しても受け入れられる。こうした職場環境は、定着率と満足度を大きく左右します。

特に20代〜30代の若手エンジニア層は、「どんな人と働くか」「何を学べるか」「どんな働き方ができるか」を重視しています。
給与以外の価値を具体的に伝えることが、選ばれる企業への第一歩です。

 

547,000点を超える給与のストックフォト、写真、そしてロイヤリティフリーの画像 - iStock | 給与明細, お金, タイムカード

 

成功事例:地方IT企業がエンジニア採用に成功した理由

ある地方のIT企業(従業員約50名)は、次の4つの取り組みによって3ヶ月で5名の応募・2名の採用・1年以上の定着に成功しました。

1. 社員ブログで企業の雰囲気を発信

週1回の「社員の日常ブログ」で、仕事内容・学び・社内文化などをリアルに発信。
若手求職者からは「雰囲気が分かって安心した」と好評でした。

2. GitHubで自社開発コードの一部を公開

開発中のアプリの一部コードをGitHub上に公開し、技術力と開発文化を可視化。
技術志向の求職者に好印象を与え、「コードを見て応募を決めた」という声も。

3. 技術コミュニティへの参加・主催

月1回の技術LTイベントを開催し、connpassなどにも登壇。
企業名の認知度が上がり、「イベントで知って興味を持った」という応募も増加。

4. フルリモートOKの柔軟な働き方を実現

東京のエンジニアをフルリモート・副業可で採用。
SlackやNotionを活用し、距離に関係なくスムーズに業務を進行。

🎯 結果とポイント

  • 応募者数:3ヶ月で5名(前年は0名)
  • 採用数:2名(1年以上定着)
  • 鍵となった施策:技術発信、社員の可視化、柔軟な働き方

この企業は、“大手に勝てない部分”ではなく、“自社ならではの魅力”を磨くことで、エンジニア採用に成功しました。

 

新卒採用に活用されるチャネル(ナビサイト、メディア、イベント、学校訪問…)について特徴を紹介します。|キャリタスUC

 

採用は「マーケティング」

IT人材の採用競争は年々激化していますが、中小企業にも勝機はあります。
大切なのは、「待つ」のではなく、自社の魅力を明確にし、積極的に“伝えにいく”姿勢です。

採用は「人事の仕事」であると同時に、会社の未来を創るマーケティング活動でもあります。
小さな工夫と継続的な取り組みで、**“選ばれる会社”**を目指していきましょう。

確かな技術と柔軟な対応力で信頼されるITパートナー、Celabo

CELABOは、お客様のニーズに応じた最適なITソリューションを提供します。

CELABOのサービス

  • ITエンジニア派遣
  • 必要なスキルを持つエンジニアを柔軟にご提供。短期から長期まで、プロジェクトに最適な人材をアサインします。
  • オフショア開発
  • コストを抑えつつ、高品質なシステム開発を実現。要件定義から運用保守まで一貫対応します。
  • ITコンサルティング
  • IT戦略立案やシステム導入支援など、専門的な知見でお客様の課題解決をサポートします。